波乗りに関すること色々。

ケリー・スレーターのサーフボードについて知りたい

サーファー特集

「ある日、ケリーの(アル・メリックの)ボードの1つに乗ったんだ。新しい世界が開かれたような感じだったよ。一度も経験したことのないサーフボードだった。ケリーからそのボードを奪って、そのまま最後まで乗って、すぐに家に帰って、アルに電話したんだ。」
-ロブ・マチャド(2005年)

言わずと知れた、ワールドタイトルを11回獲得したケリー・スレーター(2017年4月現在)だが、彼が使用するサーフボードはどのような特徴があるのだろうか。

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幼少期のサーフボード

ケリー・スレーターが育った場所はアメリカ東部フロリダ州のココアビーチである。ごく普通のビーチブレークであり、うねりは宇宙ロケットセンターのあるケープ・カナベラルでブロックされるため、波のパワーはなく、日本のビーチブレイクによく似た波質である。

ケリーは5歳の時にサーフィンを始めたが、最初は発砲スチロールの安物ボディーボードの上に立って波乗りしていた。安物なので、数週間で壊れてしまい、その都度新しい安物ボディーボードに買い替えていた。

その後、ちゃんとしたボディーボードを購入し(本物のサーフボードを買うお金がなかったらしい)、そのボディーボードでサーフィンをすることでオフ・ザ・リップや360を覚えたという。初めてエントリーしたサーフィン大会は、そのボディーボードで出場して優勝した。

8歳の時に、ケリーは初めてのサーフボードをフロリダのローカルシェイパーにオーダー。長さは5フィート弱で、ロッカーがほとんどなく、幅広でスピードの出やすいものだったようだ。そのころのケリーのサーフィンスタイルは、Matt KecheleやJeff Crawfordといったイーストコーストのサーファーや、ハワイのButtons Kaluhiokalani らの影響をうけたトリッキーなもので、当時大技とされた360を簡単にメイクしていたらしい。

その後、アル・メリックのボードに出会うまでは、おもにMatt Kecheleがシェイプしたボードに乗っていた(当時のケリーのボードの写真①)(当時のケリーのボードの写真②)。

アル・メリックのサーフボードとケリー

それまで東海岸のシェイパーにサーフボードをシェイプしてもらっていたケリーだが、16歳の時からは、西海岸のシェイパー、アル・メリックにボードをシェイプしてもらうようになる(【クリックで別記事に飛びます】アル・メリック(シェイパー)について)。

90年代始めまでは、板のボリュームを上げてパドリングを速くし、より多くの波を取ることを目的としたボードが主流であった。例えば、アル・メリックが当時のワールドチャンピオン、トム・カレンにシェイプしたボードの寸法は、6’3×19 3/4×2 3/4であった。

これに対し、アル・メリックがケリーにシェイプしたのボードの寸法は6’1×17 3/8×2という極端にボリュームを減らしたものであった。通称「ポテトチップス」と呼ばれる薄いボードで、動きを最優先させた仕様である。

一般のサーファーが「ポテトチップス」ボードに乗ると、ボードがすぐに沈んでしまって、パドルもライディングも困難だが、トッププロの強靭なパドルとライティングテクニックがあれば、「ポテトチップス」サーフボードは通常のショートボードよりルースであるため、速いライディングでラディカルなアクションもメイクしやすくなるわけだ。

90年にカリフォルニアのトラッセルズで行われた大会の解説者はこう語っている。「ケリーのライディングは誰よりも速かった。皆がフォードに乗っている中で、ケリーだけフェラーリに乗っているような感じだったよ。アル・メリックのシェイプした薄く幅の狭いボードのおかげだね。」

ケリーのコンペ用ボードは、基本的にはシングルコンケーブとスカッシュテールで、波に応じてロッカーやコンケーブ、テール形状を変更したり、長さや幅、テール位置や形状を変えてチューニングしているようだが、2000年代後半に入ってからケリーのボードは、より幅が広く、長さが短いものになっていった。

ボードが短いとコントロール性能が増すので、長いボードでは持っていきにくい場所にボードを持っていけるメリットがある。2009年ASPワールドツアーでは、初戦のゴールドコーストで5’4のクワッド(4本フィン)を使用している。

このころから、ケリー自身もアル・メリックのシェイプルームでサーフボードのシェイプをするようになり、サーフボードのデザインにもより深く関わるようになった。チャネルアイランズサーフボード2011年モデルである「Semi Pro」は、ケリー自身がボードデザインを行ったモデルであり、ケリーはこのボードでASPワールドツアーで3度優勝を飾り、10度目のワールドタイトルを獲得している。

近年のケリーのサーフボード

近年のケリーは、チャネルアイランズ以外のサーフボードに乗ることが多い。アスリートとしてではなく、ビジネスとしてサーフボードに関わることが多くなっているようだ。

2015年に Firewireサーフボードの株を大量取得し、サーフボードビジネスに参入、新たなサーフボードブランド「Slater Designs(スレーターデザインズ)」を立ち上げている。オーストラリア出身のシェイパーDaniel Thomson(ダニエル・トムソン)やGreg Webber(グレッグ・ウェバー)がSlater Designsのボードデザインを行っており、一般的なショートボードと比較するとノーズやテール形状がかなり特徴的である。

また、真偽は今のところ不明だが、ケリーはチャネルアイランズも買収するという噂もあり、今後彼がサーフボードとどのように関わっていくのか楽しみである。

ケリー自身がスレータ―デザインについて語る動画があるので、参考にしていただけると幸いである。

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